製造業の暗黙知やナレッジ・スキルマネジメントを動画で解説中!
ITトレンドの姉妹サイト「bizplay」でも、暗黙知に関する動画を配信しています。
この動画でわかること
製造業では現在、約38万人もの人材が不足していると言われており、深刻な人手不足が続いています。その背景には、少子高齢化による労働人口の減少だけでなく、育成体制の未整備という構造的な課題があります。特に製造現場では、長年「職人の背中を見て覚える」といった属人的な育成文化が残っており、体系的かつ再現性のある教育が浸透していない状況です。そのため、育成が追いつかず、人材の定着や戦力化が難しい現実があります。
こうした課題に対して、スキルマネジメントの導入が有効な解決策として注目されています。スキルマネジメントとは、従業員一人ひとりの保有スキルやキャリア志向を可視化し、適切な配置と育成支援を通じて、生産性やエンゲージメントの向上を図る取り組みです。単なる育成にとどまらず、将来的な人員構成の変化を見越した計画的なマネジメントにもつながります。
従来は「この仕事ができる人がいればよい」といった場当たり的な考え方が一般的でしたが、最近では、誰が何をできるのか、どのようにスキルを広げていけるのかを見える化し、業務の最適化と人材の多能工化を進める動きが活発になっています。
このように、スキルマネジメントは単なる人材管理ではなく、組織全体の生産性を底上げし、将来にわたって強いチームをつくるための重要な施策です。
続きでは、実際のスキルの可視化手法やレーダーチャートを用いた組織分析、定年退職によるスキル断絶リスクへの対応、さらにはデジタルツールを活用した具体的な運用例について詳しく紹介されています。スキルマネジメントの真の目的と、今後求められる実践的なアプローチを知りたい方は、ぜひ動画本編をご覧ください。
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「暗黙知」と「形式知」とは
ここでは、「暗黙知」と「形式知」の意味をそれぞれ詳しく解説します。
暗黙知とは
暗黙知とは、個人の経験やスキル、直感によって形成される知識で、言葉や文章では表現しづらいものを指します。例として、長年の経験から培われた職人の技術や、研究者の直感的な洞察などが挙げらます。これらの知識は行動や習慣の中に組み込まれており、本人は意識していないことが多いでしょう。そのため、他者に情報共有するのが難しく、個人の内面に留まりがちです。
形式知とは
形式知とは、言葉や文章などで明確に表現できる知識を指します。また、暗黙知を整理し、マニュアルや手順書にすることを形式知化と呼びます。例えば、熟練者の技術を手順書としてまとめ、全員が利用できる状態にすることが形式知化の一例です。形式知化された情報は、組織全体での共有や活用が容易なため、業務の効率化や新たなアイデアの創出にもつながります。
「暗黙知」と「形式知」の違いと具体例
暗黙知と形式知には、他者への共有のしやすさに明確な違いがあります。より具体的にイメージがつかめるよう、車の運転を例に考えてみましょう。
はじめて車に乗る際、ハンドルの切り方やブレーキのかけ方などの基本的な操作は口頭やマニュアルで教わります。これは聞いたり読んだりすれば誰でも意味を理解できる「形式知」です。
しかし運転方法を知っても、すぐ安全かつスムーズに運転できるようにはなりません。何度も練習してコツを掴み、最終的には、個人の感覚で運転できるようになります。この個人の感覚というのが「暗黙知」です。
暗黙知と形式知は互いに補完的な関係にあります。暗黙知を形式知に転換することで、知識を組織全体で共有し、活用することが可能です。逆に、形式知を個々の従業員が実践することで、新たな暗黙知を生み出す可能性もあります。この相互作用により、組織のナレッジマネジメントはより効果的になり、組織の成長や革新につながります。
「暗黙知」と「形式知」の具体例(業界別一覧)
業種や職種によって、どのような知識が暗黙知・形式知にあたるかは異なります。ここでは、業界ごとの具体例を紹介します。
| 業界・職種 | 暗黙知の例 | 形式知の例 |
|---|---|---|
| 製造業 | 機械の微細な異音から不調を察知する感覚 | 作業手順書、品質管理基準書 |
| 営業職 | 顧客の表情や声色からニーズを読み取るスキル | 営業トークスクリプト、顧客管理データ |
| ITエンジニア | 複雑なバグの原因を直感的に特定する能力 | 設計書、ソースコード、テスト仕様書 |
| 医療・介護 | 患者のわずかな変化に気づく観察眼 | カルテ、看護・介護計画書 |
| 企画・マーケティング | ヒット商品を生み出す企画者のセンスや勘 | 市場調査データ、アクセス解析レポート |
暗黙知の形式知化にはナレッジマネジメントが重要
自社内にある暗黙知の形式化を促進するには、ナレッジマネジメントの実施がおすすめです。ナレッジマネジメントとは、企業内で生まれる知識を組織的に管理し、活用するプロセスです。暗黙知を形式知に転換し共有することで、企業の知識基盤が強化されます。
例えばナレッジマネジメントによって熟練技術者の技術や経験(暗黙知)を形式知化し、新入社員の教育マテリアルとして活用可能にすることで、企業は組織全体のスキルアップとイノベーションの促進を実現できます。
ナレッジマネジメントを効率的に実施し、メリットを最大限に享受するには、専用ツールの活用が有効です。ナレッジマネジメントツールは社内の知識収集や共有を効率化する機能を豊富に搭載しています。以下でおすすめのナレッジマネジメントツールをランキングで紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
なお、ナレッジマネジメントを理解するうえで、混同されやすいのが「ナレッジ」と「ノウハウ」の違いです。ナレッジは理論や情報を含む広い概念で、ノウハウは実務に根ざしたコツや手順といった実践的な知識です。両者を区別し、バランスよく活用・継承することが重要です。
暗黙知を放置していると起こること
暗黙知を放置していると企業へのデメリットが生じる可能性があります。ここでは、暗黙知を放置することで発生しうる問題を紹介します。
業務が属人化しやすい
暗黙知が個人に依存したままだと、属人化が発生するリスクがあります。例えば、特定の従業員しか知らない顧客対応のノウハウがある場合、その従業員が不在の時間は問題解決が難しくなる可能性があるでしょう。
企業全体の成長が停滞する
従業員がスキルを磨くために経験や観察に頼るだけでは、成長速度に限界が生じます。一方で、競合他社が暗黙知を形式知化して従業員の成長を加速させている場合、自社の成長が停滞し、競争力を失う危険があります。個人のスキル向上は企業の進化に直結します。
ナレッジの活用ができなくなる
暗黙知が形式知に変換されないと、重要なナレッジが組織内で活用される機会を逃します。例えば、熟練工の技術や営業職のベテランがもつ交渉術などが後継者に伝承されず、価値が活用されないまま退職によって失われてしまう可能性があります。
適切な人事評価ができなくなる
暗黙知が個人のなかに閉じ込められると、従業員の貢献度を適切に評価するのが難しくなります。例えば、従業員がもつ特殊なスキルや知識が明確に評価されない場合、モチベーションや職場全体の公平な評価体系に影響を与える場合もあります。
暗黙知を形式知に変えるメリット
暗黙知を形式知化することで、どのようなメリットが得られるのか解説します。
業務の質を全体的に向上できる
優秀な従業員の思考や技術を形式知化して共有できれば、従業員全体の業務の質があがります。これは生産性の向上や業務効率化につながり、企業の利益拡大に役立つでしょう。
また、ノウハウや知識がデータベースやナレッジマネジメントツールに蓄積されれば、すべての従業員がいつでも知識を得られる環境が構築できます。すでに知識をもつベテランの従業員が後輩からの質問に時間を取られることもありません。さらにナレッジも検索しやすくなり、不明点がすぐに解決できます。
属人化を防げる
上述のとおり、暗黙知のまま一定の業務が行われていると、いわゆる「業務の属人化」が発生します。しかしマニュアル化やナレッジ共有ツールなどで暗黙知が形式知化していれば、担当者の急な退職や休みにもほかの従業員が対応できます。
暗黙知の形式知化は、担当者の不在による業務効率の低下を防ぐのはもちろん、将来知識や技術が企業から失われるのを防ぐことにもつながるでしょう。
従業員の教育が迅速に行える
暗黙知をマニュアルやノウハウ動画などに形式知化すると、若手従業員の教育コストを抑え、より迅速に人材育成ができます。近年OJTをサポートするeラーニングが注目されているのもこうした理由からです。研修にかける時間や場所代を抑えられるほか、日程調整など人事担当者の工数削減にもつながります。
これまでは、上司の背中を見て学ぶといった曖昧な教育法で伝授されてきたスキルが可視化され、業務におけるコツや考え方を初期から効率的に学べるでしょう。
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ナレッジマネジメントを効果的に行う方法
ナレッジマネジメントを効果的に実践していくためには「SECI(セキ)」「場(Ba)」「知識資産」「ナレッジリーダーシップ」の4つの基本要素を理解する必要があります。それぞれの基本的要素を詳しく解説します。

暗黙知を形式知に変換するSECI(セキ)モデルを活用する
ナレッジマネジメントは、SECIモデルと呼ばれるフレームワークに沿って実践されるものです。SECIモデルでは共同化・表出化・結合化・内面化の4つのプロセスを通じて、暗黙知から形式知へと転換されます。さらに、形式知が再び暗黙知へと戻るスパイラル構造で知識の流れが考えられています。
- ■共同化
- 暗黙知を暗黙知として伝える段階。経験を共有することで第三者に暗黙知を落とし込み、創造します。
- ■表出化
- 暗黙知から形式知へと変化する段階。暗黙知を共有した後、それを言葉や図などで明確にします。
- ■結合化
- すでにある形式知と形式知を結びつける段階。結合化のプロセスにより、新しい知識が形成されます。このフェーズにより、従業員のもつ潜在的な暗黙知が組織財産として活かされます。
- ■内面化
- 形式知が暗黙知となる段階。形式知が従業員の知識として内面化され、新たな暗黙知へと変化します。そして再び共同化・表出化を繰り返して知識の向上へとつながります。
SECIモデルについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
場(Ba)のデザインを行う
ナレッジマネジメントの「場」とは、組織内で暗黙知や形式知が創造・共有・活用される場所を指します。ナレッジの収集・共有を促進するには、企業内で場を適切にデザインすることが大切です。場にはさまざまな形態があり、休憩スペースや会議室、または社内SNSなどが挙げられます。
暗黙知や形式知の知識に応じた適切な場を設け、SECIモデルの4つのフェーズにあわせた適切な場を作ることが、ナレッジマネジメント成功のポイントになるでしょう。
知識資産として継承する
ナレッジマネジメントを効果的に行うためには、知的資産を継承する以下の仕組み作りが重要です。
- ●企業理念を明確化し組織全体で共有する
- ●知識を提供するための仕組み作りを行う
- ●知識を継承できるような仕組み作りを行う
個人は、自身のもつ知識を共有することに消極的になりがちです。積極的に知識を共有してもらうための仕組みや、評価を可能とする体制の構築が大切でしょう。仕組み作りのためには、データベースやイントラネットを活用してインフラを整備します。
ナレッジリーダーシップで知識ビジョンを作る
ナレッジマネジメントで効果を出すにはナレッジリーダーが役割を認識し、SECIモデルに沿ったマネジメントを行う必要があります。ナレッジリーダーは知識ビジョンを作り、場を作って知識を活性化し、SECIモデルに沿ったプロセスをリードするためのリーダーシップを発揮しなければなりません。
ITツールを活用して暗黙知の形式知化を支援する
暗黙知の形式知化を継続的に進めるには、個人の努力だけに頼らず、知識を蓄積・共有しやすい環境を整えることが重要です。口頭伝承や属人的な共有方法では、情報が断片化しやすく、組織全体に知識が定着しにくくなります。
そこで有効なのが、知識を「残す」「探す」「更新する」ことを前提とした仕組みづくりです。ITツールを活用することで、暗黙知を言語化・整理しやすくなり、SECIモデルにおける表出化や結合化のプロセスをスムーズに回せるようになります。
形式知化を促進するおすすめツール・システム
暗黙知の形式知化やナレッジマネジメントを組織的に進めるには、ITツールの活用が効果的です。ここでは、目的別に役立つツールの種類を紹介します。
ナレッジマネジメントツール
ナレッジマネジメントツールは、組織内の知識や情報を一元管理し、共有・活用を促進するための専用システムです。社内版Wikipediaのように使える「社内Wiki機能」や、優れたノウハウを持つ人材を探せる「ヘルプデスク機能」、Q&A形式で疑問を解決できる機能などがあります。散在しがちな情報を集約し、必要な人が必要な時にアクセスできる環境を構築します。
マニュアル作成ツール
マニュアル作成ツールは、業務手順書や作業標準書などを簡単かつ効率的に作成するためのツールです。テンプレート機能や画像・動画の埋め込み機能が充実しており、誰でも分かりやすいマニュアルを作成できます。作成したマニュアルはオンラインで共有・管理できるため、常に最新の状態を保ち、従業員の教育や業務の標準化に大きく貢献します。
グループウェア・社内ポータル
グループウェアや社内ポータルは、日常業務の中で発生する情報を自然に蓄積できる点が特長です。掲示板やファイル共有、ワークフローなどの機能を通じて、業務連絡や資料が形式知として残ります。ナレッジ専用ツールと比べて導入ハードルが低く、暗黙知を表出化する“入口”として活用しやすい点がメリットです。
AIツール
近年では、AI技術を活用して形式知化を支援するツールも登場しています。例えば、Web会議の音声を自動でテキスト化し、議事録を作成するツールがあります。これにより、議論の内容や決定事項が手間なく形式知として蓄積されます。また、社内に蓄積された膨大なデータからAIが必要な情報を探し出す「エンタープライズサーチ」も、ナレッジ活用を促進するうえで有効です。
まとめ
知識は企業にとって資産であり成長を続けるために必要なものです。しかし、形式知化を効率的に実施するのは、人力だけでは厳しい面もあります。そこでナレッジマネジメントツールを活用し、効率的に暗黙知を形式知化するのがおすすめです。自社の社内知識の収集・共有に課題を感じている企業は、この機会にナレッジマネジメントツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
いまや多くの企業が実際にナレッジマネジメントツールを活用し、属人化の解消や情報共有体制の改善に取り組んでいます。製品の資料を活用して、知識の活用による業務効率化を目指してみませんか。



