固定資産管理とは
固定資産管理とは、企業が保有する建物や設備、備品、ソフトウェアなどの固定資産について、取得から使用、移動、修繕、売却・除却までの情報を台帳で一元的に管理し、帳簿と現物を一致させながら適切に運用する業務です。あわせて、減価償却費の計算や会計処理に必要なデータを正確に整備し、資産の状況を継続的に把握できる状態にすることも目的に含まれます。
節税効果も?固定資産管理を行う目的
なぜ固定資産管理を行うのでしょうか。厳密に管理しなければならない理由を解説します。
固定資産を適切に使用するため
企業内の固定資産は非常に数が多く、管理が甘くなりがちです。管理が甘いままだと、不適切な使い方をして損壊したり、勝手に知らないところで廃棄されたり、まだ使えるはずなのに新しく買い替えられたり、とさまざまな問題が生じます。
固定資産は企業活動を円滑にするためのものですので、不正使用は認められません。また、無駄なコストをかけないために、固定資産を購入する必要があるのか見極めなければならないのです。そのために、固定資産を徹底的に管理する必要があります。
減価償却を正確に行うため
高額な固定資産は、一度に経費として計上してしまうと、その年の利益が極端に少なくなるため、少額ずつ経費で計上します。これを減価償却といい、減価償却費は法で定められた固定資産の耐用年数や償却率で算出します。
固定資産管理では、各固定資産の耐用年数や償却率を固定資産管理台帳にまとめ、それをもとにして減価償却を行います。
なお、実態に即した固定資産管理をしているということを大前提に、減価償却を行います。仮に実態とはかけ離れた固定資産管理をしていれば、減価償却の計算にミスが生じます。
固定資産税を正確に算出するため
固定資産には固定資産税が課せられ、不要な固定資産をそのまま持っていると余計に税金を支払わなければなりません。
固定資産管理によって不要な固定資産を把握し、除去や廃棄を行えば、無駄な支出を減らし、節税効果が得られます。
固定資産管理の業務内容
では、固定資産管理はどのように行うのでしょうか。主な業務は4つです。
1.固定資産の取得
そもそも、「1年以上使用する」「10万円を超える」「販売目的ではない」といった条件を満たさなければ、固定資産として認められません。固定資産は、有形固定資産・無形固定資産・投資その他の資産に分類され、企業は多くの固定資産を抱えることになります。
ただ、固定資産は基本的に高額で、長期間使用します。運用のランニングコストも軽視できません。そのため、購入時期はもちろん、リース契約なども検討すべきです。つまり、固定資産の取得にあたり、事前に綿密な計画を立て、慎重に検討をする必要があります。
2.固定資産管理台帳の作成
次に、固定資産管理台帳を作成し、所有している固定資産を正確に把握します。固定資産管理台帳には、「固定資産名」や「取得年月日」「取得価額」「耐用年数」などを記入し、減価償却や会計処理に必要な情報をまとめておきましょう。
また、リース資産を所有している企業は、固定資産管理台帳のほかにリース資産管理台帳も作成します。
3.固定資産の棚卸
固定資産は長期にわたって使用していくので、特に紛失・盗難・災害による損壊などがないか、現物管理を徹底しなければなりません。固定資産管理台帳に記載されている内容と、現物の状態は合致するか照合し、まだ使用を継続できるかといった確認も行っていきます。
固定資産の数が多いと棚卸は面倒ですが、固定資産に管理ラベルを貼付しておくと、そのほかの物品と識別しやすく、作業がスムーズでしょう。
棚卸後、除去・廃棄すべき固定資産があれば実行し、固定資産管理台帳に必ず記録してください。固定資産の移動があった場合も同様です。台帳に記録しないと、現物とズレが生じます。
固定資産管理でよくある課題
固定資産管理は煩雑な業務が多く、多くの企業で課題を抱えています。特に手作業での管理には限界があります。
台帳と現物の不一致
最も多い課題が、管理台帳の情報と実際の資産の状況が一致しないことです。「台帳にはあるはずの備品が見つからない」「異動情報が更新されておらず、資産の所在が不明」といった事態は、棚卸作業の大きな負担になります。この不一致は、資産の紛失や不正利用のリスクにも直結します。
エクセル管理の限界と属人化
エクセルやスプレッドシートで固定資産管理台帳を作成している企業は多いですが、資産の数が増えるにつれて限界が生じます。手入力によるミスや計算式の破損、複数人での同時編集が難しいといった問題があります。また、複雑な関数やマクロを特定の担当者だけが管理していると、その担当者の異動や退職によって業務がブラックボックス化し、引き継ぎが困難になる属人化のリスクも高まります。
管理を効率化する固定資産管理システムの導入効果
上記のような課題を解決し、管理業務を効率化する有効な手段が「固定資産管理システム」の導入です。システムを導入することで、以下のような効果が期待できます。
固定資産の一元管理と内部統制の強化
固定資産管理システムを導入すれば、固定資産管理台帳がシステム上で一元管理されます。タイムリーに情報更新ができ、乖離は起きにくくなるでしょう。
また、誰がいつ情報を更新したかの操作ログが記録されたり、担当者ごとに閲覧・編集権限を設定できたりするため、不正な情報改ざんや誤操作を防ぎます。これにより、資産管理の透明性が向上し、内部統制の強化につながります。
複雑な減価償却計算の自動化
近年、IFRSという世界の会計基準に対応する日本企業が増えていて、従来の会計基準から移行する動きが広がっています。減価償却の方法も、定率法から定額法に変更するケースもあります。そのため、固定資産管理システムもさまざまな償却方法に対応しています。
3年一括償却、繰延資産、少額資産にも対応する固定資産管理システムもあったり、すべて自動計算せずに必要に応じて手入力できる機能があったりと柔軟です。また、減価償却費のシミュレーション予測機能が搭載され、設備投資の長期・中期計画がしやすくなります。
バーコード/スマホ活用による棚卸効率化
多くのシステムでは、バーコードやQRコード、ICタグを活用した棚卸が可能です。スマートフォンのアプリや専用のリーダーで資産のラベルを読み取るだけで、台帳情報との照合が完了します。紙のリストを見ながら一つひとつ目視で確認する従来の方法に比べ、作業時間を大幅に短縮し、確認漏れやヒューマンエラーを削減できます。
手作業での管理に限界を感じていませんか?システムを導入すれば、棚卸や償却計算の自動化が可能です。まずは、どのような製品があるか資料を取り寄せ、自社の課題を解決できるシステムを探してみましょう。
固定資産管理の必要性を再認識し、システム化しよう
固定資産を適切に使用し、減価償却や固定資産税の算出を正しく行うために、固定資産管理を行います。固定資産の取得・移動・除去・廃棄などの変化を、固定資産管理台帳で把握し、現物と状況が一致していることを確認しなければなりません。
しかし、これを人力で行うのは大変ですので、固定資産管理システムを導入しましょう。固定資産を一元管理し、タイムリーな情報更新が可能ですので、導入検討してみてはいかがでしょうか。



