パソコンに固定資産税はかかるのか
結論から言うと、事業用として使用するパソコンは、原則として固定資産税(償却資産税)の課税対象となります。
ただし、すべてのパソコンに税金がかかるわけではありません。購入金額や採用する会計処理の方法(一括償却など)によっては、償却資産税の対象外となるケースがあります。また、所有している償却資産の合計額が一定未満(免税点)であれば課税されません。
「法人税・所得税上の経費処理(損金算入)」と「地方税上の償却資産税」は、判断基準が異なる部分があるため注意が必要です。
【金額別】パソコンの勘定科目と処理方法
パソコンの経費処理は、基本的に「取得価額」によって決まります。まずは正しい金額を把握し、適切な処理を選択しましょう。
1.取得価額を計算する
取得価額とは、パソコン本体の価格だけでなく、購入にかかった付随費用を含めた合計金額のことです。送料や手数料、セットアップ費用なども取得価額に含まれるため、これらを合算して判定する必要があります。
2.取得価額の金額によって処理方法を決める
パソコンは、取得価額がいくらかによって処理方法が異なります。
10万円未満:消耗品費として全額経費処理
取得価額が10万円未満のパソコンは、「消耗品費」として処理できます。購入した年度に全額を経費(損金)として計上できるため、会計処理がシンプルです。
また、消耗品費として処理した場合は固定資産台帳への登録が不要となり、償却資産税の課税対象外となります。
10万円以上20万円未満:一括償却資産の活用
取得価額が10万円以上20万円未満の場合は、「一括償却資産」として処理することが可能です。これは、個別の耐用年数に関係なく、3年間で均等に減価償却を行う方法です。
一括償却資産として処理する最大のメリットは、償却資産税の対象外になることです。通常の固定資産として計上するよりも税負担を抑えられるため、この価格帯のパソコンではよく利用されます。
10万円以上30万円未満:少額減価償却資産の特例(中小企業)
青色申告を行っている中小企業者等(従業員数1,000人以下など)であれば、「少額減価償却資産の特例」を利用できます。これは、取得価額が30万円未満のパソコンであれば、年間合計300万円を上限として、購入年度に全額を経費計上(即時償却)できる制度です。
ただし注意が必要なのは、この特例を使って全額経費にした場合でも、償却資産税の課税対象にはなるという点です。法人税等の節税にはなりますが、固定資産税の申告は必要であることを忘れないようにしましょう。
参考:中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|国税庁
30万円以上:固定資産として減価償却
取得価額が30万円以上のパソコン、または特例を使わない場合は、通常の「固定資産(器具備品)」として資産計上します。パソコンの法定耐用年数(サーバー用以外は通常4年)に基づいて、減価償却を行います。
この場合は当然、償却資産税の課税対象となります。
ここまでの内容をまとめると、以下の表のようになります。
| 取得価額 | 処理方法 | 勘定科目(例) | 償却資産税 |
|---|---|---|---|
| 10万円未満 | 全額を費用計上 | 消耗品費 | 対象外 |
| 10万円以上 20万円未満 | 一括償却資産として 3年で均等償却 | 一括償却資産 | 対象外 |
| 10万円以上 30万円未満 | 少額減価償却資産の特例を適用し 全額費用計上(※中小企業者等のみ) | 消耗品費、雑費など | 対象 |
| 30万円以上 | 固定資産として 法定耐用年数で減価償却 | 器具備品 | 対象 |
このように、金額によって「3年償却」「4年償却」「即時償却」が混在し、さらに償却資産税の有無も変わるため、Excel等での手動管理はミスが起きやすくなります。台帳管理と税務申告を効率化するには、専用システムの活用も検討するとよいでしょう。
【ケース別】パソコン購入時の具体的な仕訳例
ここでは、具体的な金額を例に挙げて、仕訳の方法を紹介します。
10万円未満:消耗品費(全額経費)
9万円のパソコンを現金で購入した場合の仕訳です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 90,000円 | 現金 | 90,000円 |
10万円~20万円未満:一括償却資産(3年均等)
15万円のパソコンを購入し、一括償却資産として処理する場合の仕訳です。決算時に償却費を計上します。
購入時:
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 一括償却資産 | 150,000円 | 現金 | 150,000円 |
決算時(1年分):
150,000円 ÷ 3年 = 50,000円
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 50,000円 | 一括償却資産 | 50,000円 |
10万円~30万円未満:少額減価償却資産の特例(全額経費)
25万円のパソコンを購入し、中小企業の特例を使って全額経費にする場合です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 250,000円 | 現金 | 250,000円 |
※勘定科目は「器具備品」として計上し、即時償却することもあります。
30万円以上:器具備品(法定耐用年数で償却)
35万円のパソコンを購入し、資産計上する場合です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 器具備品 | 350,000円 | 現金 | 350,000円 |
決算時には、法定耐用年数(4年など)に応じた減価償却費を計上します。
固定資産管理システムを活用すると、償却資産税申告書などが自動で作成できるなど効率化が可能です。以下の記事では固定資産管理システムの機能や人気の製品について詳しく解説しています。
「どんな観点で選べばいいかわからない」という方向けの診断ページもあります。
ITトレンドで過去に固定資産管理システムを資料請求した方のお悩みや要望から作成した簡単な質問に答えるだけで、最適なシステムを案内します。
無料で今すぐ利用できますので、下のリンクから診断を開始してください。
▶固定資産管理システム おすすめ比較・無料診断
知っておきたいパソコン経費処理の注意点
パソコンを経費処理する際には、取得価額の判定など、いくつか注意すべき点があります。間違いやすいポイントを事前に確認しておきましょう。
償却資産税の免税点(150万円)に注意
前述の通り、パソコンは原則として償却資産税の対象ですが、同一区内(市町村等)に所有する償却資産の課税標準額の合計が150万円未満の場合は課税されません(免税点)。
つまり、償却資産税の対象となるパソコンを購入しても、会社全体の償却資産が少なければ税金がかからないケースがあります。ただし、免税点未満であっても申告手続き自体は必要な自治体が多いため、確認が必要です。
取得価額には「付随費用」も含まれる
パソコンの取得価額には、本体価格だけでなく、購入に際してかかった送料や手数料、初期設定費用などの付随費用も含まれます。例えば、本体価格が9万8,000円でも、送料が3,000円かかった場合、取得価額は10万1,000円となり、10万円以上の資産として扱われるため注意が必要です。
モニター・周辺機器やソフトの扱い
モニターやキーボード、マウスなどの周辺機器をパソコン本体と同時に購入し、セットで事業に使う場合は、原則としてパソコン本体の取得価額に含めて判断します。一方で、周辺機器が単独でも使用でき、パソコン本体とは独立した資産として管理している場合には、別資産として処理することもあります。どちらに該当するかは、使用実態や管理方法によって判断されます。
ソフトウェアについても同様に、OSや業務に必須のソフトがあらかじめ組み込まれており、そのソフトがなければパソコンとして機能しない場合には、取得価額に含めて処理するのが一般的です。一方で、後から別途購入したソフトウェアで、パソコン本体とは独立して利用できるものについては、無形固定資産や経費として別途処理するのが通常です。
消費税の「税込・税抜」判定基準
取得価額が10万円以上かどうかを判断する際、消費税を税込で処理するか、税抜で処理するかは、自社が採用している経理方式によって決まります。税抜経理方式を採用している場合は税抜価格で、税込経理方式を採用している場合は税込価格で判断します。例えば、税抜9万8,000円(税込10万7,800円)のパソコンは、税抜経理なら10万円未満、税込経理なら10万円以上となります。
中古パソコンの耐用年数計算
中古のパソコンを購入した場合は、新品の法定耐用年数(4年)ではなく、その資産を事業で使用できると見積もられる期間を耐用年数として減価償却を行います。耐用年数の見積もりが難しい場合は、法定耐用年数から経過した年数を差し引くなどの簡便法を用いて計算することも認められています。
固定資産について理解して正しく管理を!
事業用のパソコンは、取得価額によっては固定資産となるため、金額別の会計処理が必要です。金額ごとの管理が必要になるため、誤った処理にならないよう注意をしましょう。
なお、事業用に使用していないパソコンは原則として経費計上できないので注意が必要です。
こういった手続きを円滑にミスなく行うには固定資産管理システムが便利です。まずはメリット確認や製品比較のために資料請求をしてみましょう。



